QucsStudioとは
QucsStudioは、オリジナルのQucsプロジェクトから進化した高度な回路シミュレーションツールです。Michael Margrafによって独立して開発されたこのツールは、新しいシミュレーションエンジンを導入し、他のバリアントにはないユニークな機能を追加しています。これには、システムシミュレーション、PCBの電磁シミュレーション、C/C++、Octave、Kicadとの統合などが含まれます。Qucs Studioは、特に小規模な環境でのプロフェッショナルな使用に適しており、その野心的な機能は多岐にわたります。
主な機能
Qucs Studioは、複雑な電子回路設計において高度な分析ツールを提供し、プロフェッショナルな環境でも優れた性能を発揮します。このツールは、アナログ回路設計からRF電子設計までの幅広いアプリケーションをサポートします。これには、S-パラメータ、ハーモニックバランスのサポート、インダクティブおよびキャパシティブコンポーネントデザイナー、伝送線の合成、自動フィルタ設計、インピーダンスマッチング、減衰器計算などが含まれます。
主な機能は次のようなものがあります。
アナログ回路設計:
Qucs Studioは、アナログ回路設計とRF電子設計の幅を広げるために、S-パラメータやハーモニックバランスなどのサポートを含んでいます。これに加えて、インダクティブおよびキャパシティブコンポーネントデザイナー、伝送線の合成、自動フィルタ設計、インピーダンスマッチング、減衰器計算など、アナログおよびRF回路設計をサポートするための複数のユーティリティが含まれています。
回路チューニング:
DCまたはS-パラメータ解析では、設計条件を満たすために回路コンポーネントのパラメータを変更することが一般的です。Qucs Studioでは、値のチューニングや微調整を行うことで、各コンポーネントがシミュレーション結果にどのように影響するかを視覚的に確認できます。
モンテカルロ解析:
モンテカルロ法を用いることで、回路要素の許容誤差を考慮した解析が可能です。これにより、回路コンポーネントの許容誤差に応じてシミュレーション結果の変動を観察できます。
PCB設計サポート:
Qucs Studioは、製造およびシミュレーションレベルでのPCB設計をサポートしています。KiCad回路ルーティングソフトウェアと統合されており、マイクロストリップ線を基にした回路の電磁場シミュレーションも可能です。
デジタル回路設計:
Qucs Studioでは、ビットジェネレータ、ロジックゲート、フリップフロップ、VHDL/Verilogで定義されたコンポーネントを使用してデジタル回路の設計とシミュレーションが行えます。
システム設計:
Qucs Studioは、通信システムの高レベルシミュレーションに特に適しています。システムシミュレーションでは、複素数ブロックが処理され、すべての接続されたコンポーネントに出力データが送信されます。
追加ユーティリティ:
Qucs Studioには、材料表の作成やGPIBを介した機器制御、Gerbviewなどの複雑なアプリケーションが含まれています。
QucsとQucs Studioの比較
Qucs(Quite Universal Circuit Simulator)は、無料で利用可能な電子回路シミュレータの一つで、Stefan JahnとMichael Margrafによって開発されました。Qucsの主な目的は、一般的なSPICEシミュレーション(DC、AC、過渡)とRF設計(S-パラメータ、ハーモニックバランス)を含む完全な電子回路シミュレーターになることです。Qucsの2つの主要な特徴は、独自のシミュレーションエンジンであるQucsatorの使用と、Qtベースの非常によく設計されたグラフィカルインターフェースの提供です。
一方で、Qucs StudioはQucsプロジェクトから進化し、Michael Margrafによって独立して開発されました。Qucs Studioは、新しいシミュレーションエンジンを導入し、システムシミュレーション、PCBの電磁シミュレーション、C/C++、Octave、Kicadとの統合など、他のバリアントにはないユニークな機能を追加しています。実際にQucsStudioは、プロフェッショナルな使用においても最も野心的なバージョンです。
オープンソース
Qucs Studioは、高度な機能を備えながらも、完全に無料で利用できます。ユーザーは、公式ウェブサイトから無料でダウンロードし、リアルな回路シミュレーションを体験できます。
また、Qucs Studioは、Qucs(Quite Universal Circuit Simulator)ファミリーの一部です。このファミリーには、Qucs Original、Qucs-Sなどが含まれ、すべて無料で利用可能です
コメント
始めまして。仙台市の会社員です。業務でも趣味でもQcusStudioを使用しているのですが、会社のWINDOWSPCで作成したファイルが家庭のLinuxMintでは開く事が出来ません。
何か御存知と所御座いましたらお教え下さい。
勝野様
ブログをご覧くださりありがとうございます。LinuxMint上でWineを使用してWindows版のQucsStudioを動かしていて、QucsStudio自体は動作するけど作成したschファイルなどを開くことができないという事でしょうか?
御返事ありがとうございます。はい。WINE上でインストールしましたが、ファイルを開くと”致命的なエラー”と出てクラッシュします。 やはりまだWINEでは無理なのかと思いました・・・
私はLinuxを使用していないので詳細はわかりませんが、Wine上で動かす際のエラーについていくつか言及している情報がありましたので参考にしてみてください。
https://qucsstudio.de/forums/topic/linux-support/
https://www.eevblog.com/forum/eda/qucs-qucs-s-and-qucsstudio-simulators-are-not-the-same-thing/