uSimmics(旧QucsStudio)の「Subcircuit(サブサーキット)」機能を使うと、大規模・複雑な回路設計を階層化して整理できます。本記事では、3次 LC ローパスフィルタをサブサーキットとして作成し、メイン回路に組み込むまでの手順を解説します。
この記事でわかること
- Subcircuit(サブサーキット)の概念と利点
- サブ回路図の作成とポートの設置方法
- メイン回路図へのサブサーキット組み込み手順
- Sub.sch ファイルの指定とトラブルシューティング
- サブサーキットを複数配置して再利用する方法
Subcircuit(サブサーキット)とは
Subcircuit(サブサーキット)とは、大きな電子回路の中で独立したモジュールとして定義した小回路ブロックのことです。回路設計に Subcircuit を活用することで、以下のメリットが得られます。
- 回路図の見通しが良くなる(階層設計)
- 同一のサブ回路ブロックを複数箇所に再利用できる
- 設計変更時にサブ回路側を修正するだけで全体に反映される
手順
1. プロジェクトに2つの回路図を用意する
まず、プロジェクト内に2つの回路図ファイルを作成します。
| ファイル名 | 役割 |
|---|---|
| Main.sch | メイン回路図(サブサーキットを使用する側) |
| Sub.sch | サブ回路図(サブサーキットとして使われる側) |
2. サブ回路図(Sub.sch)に回路を設計する
今回は「Sub.sch」に3次 LC ローパスフィルタを設計します。
補足(LC ローパスフィルタ): インダクタ(L)とキャパシタ(C)を組み合わせて、低周波成分だけを通過させるフィルタ回路です。uSimmics(旧QucsStudio)の Filter Synthesis 機能を使うと、フィルタ次数と遮断周波数を指定するだけで回路定数を自動計算できます。
Filter Synthesis を使ったフィルタ設計の詳細は こちらの記事 を参照してください。
3. サブ回路図にポートを設置する
設計したフィルタ回路からメイン回路との接続に不要な部分(終端抵抗など)を削除し、接続点に「Port(ポート)」を設置します。
- 入力端に Port を1つ配置します。
- 出力端に Port を1つ配置します。
- ファイルを保存します(
Sub.schとして保存)。
注意: ポートが正しく配置・保存されていないと、メイン回路からサブサーキットの端子が認識されません。「サブサーキットから2つのポートが出ていない」場合は、Sub.sch が正しく保存されているか確認してください。
4. メイン回路図(Main.sch)にサブサーキットを追加する
- Main.sch を開きます。
- 「Components → Devices」メニューから「Subcircuit」を選択し、回路図上に配置します。
- 配置した Subcircuit コンポーネントをダブルクリックしてプロパティダイアログを開きます。
- 「Browse」ボタンをクリックし、先ほど設計した
Sub.schファイルを選択します。 - ダイアログを閉じると、メイン回路図上にサブサーキットが2つのポートを持つブロックとして表示されます。
5. サブサーキットを含む回路でシミュレーションを実行する
通常の回路シミュレーションと同じ手順でシミュレーションを実行します。サブサーキット内のコンポーネントは、メイン回路に直接配置されているものとまったく同じように動作します。
応用: 同じサブサーキットを複数配置することも可能です。たとえば、同一フィルタを複数段カスケード接続する場合に、同じ Sub.sch を参照する Subcircuit ブロックを繰り返し配置するだけで回路を構成できます。
トラブルシューティング
| 症状 | 確認ポイント |
|---|---|
| サブサーキットのポートが2つ表示されない | Sub.sch のポートが正しく設置・保存されているか確認する |
| シミュレーションエラーが発生する | Sub.sch のパスが正しく指定されているか、ファイルが存在するか確認する |
| サブ回路の変更がメイン回路に反映されない | Sub.sch を保存してから、Main.sch でシミュレーションを再実行する |
まとめ
uSimmics(旧QucsStudio)の Subcircuit 機能を使うことで、複雑な回路を階層的に整理でき、設計の再利用性と保守性が大幅に向上します。Filter Synthesis で設計したフィルタをサブサーキット化するだけでも、実務的な回路設計フローの効率化に直結します。まずは簡単なサブ回路で操作に慣れ、大規模回路の設計にも応用してみてください。


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